CAD(キャド)とは、コンピュータを使用して設計図を作成するシステムや、設計するためのソフトのことを指します。
Computer Aided Designの略で、日本語で「コンピュータ支援設計」と訳されます。
1963年にアメリカでCADの原点となる設計ソフト「Sketchpad」が誕生したのをきっかけに、次々と新たなCADソフトが開発され、1980年代に一般企業にも導入され始めたことで、設計ツールのスタンダードとなりました。
CADは性能によって、2次元CAD(2D CAD)と3次元CAD(3D CAD)に分類されます。
・2D CAD:平面図・立面図などを線分や円弧を用いて作図する
・3D CAD:立体形状を直方体や球を用いて作図する
ものづくりにおける製図には2D CAD、建築設計には3D CADといったように、現場ごとに最適なCADソフトが採用されています。
また、基本的な性能を備え幅広い分野での設計に対応できるものは汎用CAD、特定の分野の製図や設計に最適化されたものは専用CADと呼ばれています。
CADを取り入れることによるメリットは、主に4つ考えられます。
・設計作業の効率化をはかれる
・設計品質の向上や安定化をはかれる
・修正に柔軟に対応できる
・図面の管理や情報共有が容易になる
CADが世の中に浸透するまで主流であった手書きの設計図では、線の太さの統一や細かいミスの修正が非常に難しかったり、設計図の共有のために毎回コピーをとる必要があったりするなど、多くの手間と時間がかかっていました。
コンピュータでの製図作業により従来の手間が省かれ、操作を勉強すれば誰もが安定した質の良い設計図を作成できるようになったことは、CADの導入による大きなメリットといえるでしょう。
AutoCAD(オートキャド)とJw_cad(ジェーダブリューキャド)は、一般的に使用されるCADのソフトの種類です。
AutoCADは、2次元・3次元の両方の図面を作成できる、高い機能性が魅力の汎用CADソフトです。
建築や土木、機械などの専門分野に特化した専用CAD版も販売されています。
一方、Jw_cadは2次元の設計図専用の汎用CADソフトです。
無償で使用できるフリーソフトである点が大きな特徴であり、主に建築系の現場で使用されています。
いずれも代表的なCADソフトであり、本記事でご紹介するCAD資格の試験内容にも、AutoCADとJw_cadの操作に関する知識などが含まれています。
CADデザインマスター®は、一定以上のCADに関する知識や操作技術を有し、これからの社会の姿を考えられる人材として認められたものに授与される資格です。
世界標準CADやAutoCAD、Jw_cadを使い、あらゆる場面(建築・機械・設備・電気・土木)における業務の中で、的確に作図する能力が問われます。
資格取得後は、CADデザインマスター®として講師活動を行うこともできます。
【CADデザインマスター®認定試験の内容】
・杭伏せ図
・基礎伏せ図
・見上げ図
・階段躯体図
・平面図
・平面詳細図
・建築図 など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 1万円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅受験(設定された6日間の試験期間内に解答し、協会宛に解答用紙を送付) |
合格実績 | 70%以上の評価 |
建築CADインストラクターは、建築CADを用いた建築設計や建築施工図の作成などに関する知識やスキルを有するものに与えられる資格です。
CADシステムへの理解や、実務において通用するレベルのAutoCADまたはJw_cadの操作スキルも求められます。
実際に仕事でCADを使っている方や、今後講師としての活動を考えている方が資格を取得されています。
【建築CADインストラクター資格検定試験の内容】
・建築CADの基礎知識
・施工図
・基礎伏せ図
・見上げ図
・平面詳細図
・建築図
・用語・記号 など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 1万円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅受験(設定された6日間の試験期間内に解答し、協会宛に解答用紙を送付) |
合格実績 | 70%以上の評価 |
土木CADインストラクターは、CADシステムを理解し、土木CADを使用した土木製図に関する基礎知識やスキルを身につけたものに与えられる資格です。
土木業界で用いられる土木CADの基本事項の把握や、実務において通用するレベルのAutoCADまたはJw_cadの操作スキルも問われます。
受験者の中には、実務で使用している土木CADのスキルを上げるために土木CADインストラクター資格を取得し、技術の向上を認められ、新入社員研修の講師に抜擢された方もいます。
【土木CADインストラクター資格検定試験の内容】
・土木CADの基礎知識
・基本図面知識
・寸法
・図面管理
・用語・記号 など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 1万円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅受験(設定された6日間の試験期間内に解答し、協会宛に解答用紙を送付) |
合格実績 | 70%以上の評価 |
CAD利用技術者試験は、検定試験をとおして人材の輩出を支援する「一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)」主催のCAD資格試験です。
「一般社団法人コンピュータ教育振興協会」は、CAD利用技術者試験のほか、Space Designer検定や3Dプリンター活用技術検定試験、エンジニアのための環境エキスパート検定試験など、さまざまなコンピュータスキルを問う検定試験を行っています。
CAD利用技術者試験は、3次元CAD利用技術者試験と2次元CAD利用技術者試験の2種類に分けられます。
3次元CAD利用技術者試験は、日本における産業・地域の競争力強化に欠かせない3次元CAD技術の使い手の育成を目的とする試験です。
合格後は、自動車・機械メーカーで設計者、もしくは設計補助として、習得した知識を活かして活躍することも可能です。
試験はレベル別に2級・準1級・1級に分けられています。
2級は筆記試験(CBTシステムによる多肢選択方式)、準1級と1級は実技試験(モデリング・作成したモデルの数値測定)の形で実施されます。
【3次元CAD利用技術者試験の内容】
・2級:3次元CADの概念/3次元CADの機能と実用的モデリング手法/3次元CADデータの管理と周辺知識/3次元CADデータの活用 など
・準1級:CADリテラシー/形状認識能力/2次元図面からのパーツモデリング能力 など
・1級:CADリテラシー/形状認識能力/アセンブリモデリング能力/2次元図面からのパーツモデリング能力 など
2級 | 準1級 | 1級 | |
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受験資格 | 制限なし | 2級有資格者 | 2級または準1級有資格者 |
受験料 | 7,700円(税込) | 1万1,000円(税込) | 1万6,500円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み | ||
受験方法 | 会場受験 | ||
合格基準 | 各分野5割以上、および総合7割以上の正解 |
準1級・1級試験において、試験会場のパソコン・CADを使用する場合は、別途2,200円(税込)が必要です。
2次元CAD利用技術者試験は、CADを利用するために必要な知識や、図面を正しく理解しCADを利用した作図を効率的にこなせる技能を問う試験制度です。
現在、設計の現場では3次元CADの使用が主流となりつつありますが、従来からの2次元図面も幅広く利用されており、2次元CADを用いた図面の作成を行える人材が必要とされています。
試験合格後は、身につけた知識とスキルを活かして機械設計事務所や機械・設備メーカーで設計に携わったり、CADインストラクターとして活動したりすることも可能です。
試験はレベル別に基礎・2級・1級に分けられ、1級はさらに機械・建築・トレースの3分野に分類されています。
基礎は在宅で受験可能なIBTシステムによる筆記試験、2級は会場でパソコンを使用して行うCBTシステムによる筆記試験、1級は実技試験と筆記試験の形で実施されます。
【2次元CAD利用技術者試験の内容】
・基礎:CADシステムの概要と機能/CADの作図データ/製図の原理と表現方法 など
・2級:CADシステムの基本機能/CADシステムの運用・管理と課題/3次元CADの基礎知識 など
・1級実技:機構部品の作図(機械)/RC図(建築)/編集・レイヤ設定能力(トレース) など
・1級筆記:機械製図の知識(機械)/建築製図の基礎知識(建築)/製図の知識(トレース) など
基礎 | 2級 | 1級 | |
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受験資格 | 制限なし | 制限なし | 2級または1級(別分野)有資格者 |
受験料 | 4,400円(税込) | 6,050円(税込) | 1万6,500円(税込) ※過去の1級合格者は1万1,000円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み | ||
受験方法 | 在宅(IBTシステム) | 会場(CBTシステム) | 会場 |
合格基準 | 総合7割以上の正解 | CADシステム分野・製図分野で各5割以上、および総合で7割以上の正解 | 実技試験・筆記試験で各5割以上、および総合で7割以上の正解 |
建築CAD検定試験は、CAD教育を実施する全国各地の大学や専門学校、高校、職業訓練校など、720校にのぼる教育機関で広く採用されている検定試験です。
自らの建築知識をもとに与えられた条件のもと建築一般図を作成する技術や、CADシステムを使用し与えられた建築図面を正しくトレースする技能などが求められます。
CADの知識だけでなく、現場で役立つ真の実務能力が問われる実践型の実技試験であることが、建築CAD検定試験の大きな特徴です。
試験はレベル別に4級・3級・2級・准1級に分けられています。
4級は高校の団体受験のみの開催となるため、ここでは3級・2級・准1級の一般受験の基本情報をご紹介します。
【建築CAD検定試験の内容】
・3級:建築図面の要素を取り出して作成した参考図をもとに、一定時間内に完成図を作成する
・2級:設計者の描いたラフスケッチ(平面図)などをもとに、一定時間内に建築一般図を2面作成する
・准1級:課題として与えられた建築図面(RC構造など)をもとに、建造物の特性を理解した適切な判断によるトレースを行い、一般図を4面作成する
受験資格 | 規定なし |
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受験料 | ・3級・2級:1万500円 ・准1級:1万4,700円 |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 会場 ※会場機器使用・持ち込みのいずれかを選択 |
Vectorworksは、建築・土木・機械・工芸などのさまざまな分野で活用されている汎用CADソフトウエアです。
Vectorworks操作技能ベーシック認定試験では、Vectorworksの基本機能についての理解や、Vectorworksを使用したレンダリングの基本操作技能が問われます。
一般受験とOASIS加盟校受験(加盟校の在学生・教員・非常勤は受験料無料)の2つの受験方法がありますが、ここでは一般受験の基本情報をご紹介します。
【Vectorworks操作技能ベーシック認定試験の内容】
・作図をするうえでのVectorworksの基本的な作業環境
・2次元・3次元・ワークシートなどの基本機能
・フォトリアルなレンダリング機能の基本的な操作 など
受験資格 | 規定なし |
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受験料 | 3,300円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅(IBT方式) |
合格基準 | 全体の7割以上が正解していること |
実務キャリア認定制度は、「一般社団法人コステックエデュケーション」主催の認定制度です。
CADに関する知識やスキルを問う認定試験として、以下の4つの試験が実施されています。
・TCADs
・3次元CADトレーサー認定試験
・3次元CADアドミニストレーター認定試験
・CADアドミニストレーター認定試験
TCADs(Test of CAD for Skill)は、CAD操作の技術や図面の理解力を公正に評価する認定試験です。
機械・建築の2部門に分かれており、それぞれ、図面に関する知識を問う学科試験とCADを使用した図面作成能力を問う実技試験で構成されています。
機械部門 | 建築部門 | |
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学科試験 | JIS製図一般の知識および機械製図の基礎知識 | JIS製図一般の知識および建築製図の基礎知識 |
実技試験 | CADを用いた機械部品の組立図、部品図の作成 | CADを用いた建築物の平面図、断面図、立面図の作成 |
実技試験では、図面の理解力やCADを利用した製図能力だけでなく、図面の「見栄え」も評価の対象となります。
受験資格 | 制限なし |
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受験料 | 1万1,550円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 会場(CBT方式)※全国各地のパソコンスクールなど |
3次元CADトレーサー認定試験、3次元CADアドミニストレーター認定試験、CADアドミニストレーター認定試験に関しては、試験内容が公式サイト内で公開されていないため、試験の基本情報についてのみご紹介します。
受験資格 | 制限なし |
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受験料 | ・3次元CADトレーサー認定試験:一般受験者 13,600円/学生割引 9,500円 ・3次元CADアドミニストレーター認定試験:一般受験者 10,500円/学生割引 6,300円 ・CADアドミニストレーター認定試験:一般受験者 7,300円/学生割引 5,300円 |
受験申請 | インターネットからの申し込み |
受験方法 | 在宅(IBT方式) |
CADオペレーターとは、CADを操作しパソコン上で図面を作成する職種のことを指します。
設計者のスーパーアシスタントとして幅広い業界での活躍が見込め、在宅ワーク可能な求人も多いことから、ライフステージに合わせた自由な働き方を求める女性たちの間で注目度が高まっています。
設計図の作成は、建築や土木関連の大規模な作業現場だけでなく、あらゆるものづくりの現場において必要不可欠な作業です。
お客様のニーズなどを考慮しながら図面を作成するCADオペレーターの仕事は、共感力が高く細やかな気配りが得意な女性に向いている職種といえるでしょう。
CADは、設計図をもとにものづくりを行うさまざまな業界で利用されています。
・建築業界
・土木業界
・製造業界
・家具・インテリア業界
・アパレル業界
・ジュエリー業界
・福祉業界
建築物などの設計図に用いられるイメージの強いCADですが、実はインテリアや洋服、ジュエリーなど、女性デザイナーが多く活躍する業界においても、なくてはならないツールとなっています。
CAD資格の取得をとおして身につけた知識は、設計図を必要とするさまざま職種で大いに活かせるでしょう。
CAD資格を取得することで、身につけた知識やスキルを活かして講師活動を行う道も開けます。
子育ての合間に自宅で講習会を開く、スクールを立ち上げて本格的に活動するなど、自分に合った働き方を選択できるのも女性にとって魅力的な点といえます。
近年、CAD資格やCADオペレーターの仕事への注目度が高まっているため、CADについてわかりやすく学べるセミナーや講習会の需要も今後増えていくと予想されます。
講師としての活動の幅も、これからますます広がっていくでしょう。
CADに関する書籍は多数出版されているため、独学で手軽に勉強を始められます。
ただ、書籍の膨大な情報量の中から、取得しようとする資格に必要な内容を絞り込み、効率よく学ぶのは容易ではありません。
また、専門用語も多いため、一つひとつの用語について理解するだけでも、かなりの時間を要するでしょう。
書籍での勉強は、CADに関する知識をある程度備えている方が、再確認や復習に利用するのがおすすめです。
CADについて学べる専門学校やスクールに通うのも、効果的な勉強方法のひとつです。
講師の実演を見ながら学べ、質問も直接行えるため、疑問を残すことなく着実にスキルを身につけられます。
ただ、時間と場所に縛られることや、まとまった学費が必要なことから、数年単位でCADについての内容を含む設計・製図に関する知識やスキルを学ぶことに専念できる場合に、おすすめの方法といえるでしょう。
CADを使用する仕事において資格は必須ではないため、資格取得前でも、設計事務所やデザイン事務所で製図作業に携わることは可能です。
さまざまな事例に触れながら、実際にCADを操作できるため、より実践的なスキルを身につけられるでしょう。
ただ、資格取得に必要な知識やスキルのすべてを、実務経験のみで習得するのは難しいため、次にご紹介する通信講座の受講とあわせて学習を進めていくのがおすすめです。
自分のペースで無理なくCAD資格取得を目指したい方には、通信講座の受講がおすすめです。
「諒設計アーキテクトラーニング」の通信講座では、2つの人気CAD資格を同時に取得できます。
2資格の組み合わせは、以下の2パターンです。
・CADデザインマスター®資格と建築CADインストラクター資格
・CADデザインマスター®資格と土木CADインストラクター資格
「実践建築CAD建築技術者コース」と「実践土木CAD技術者コース」では、講座修了と課題提出のみで、認定試験を受験することなく上記のいずれかのパターンでの資格取得が可能です。
各コースとも、AutoCADを使用する「AUTOCAD講座」とJw_cadを使用する「JWCAD-Win講座」から選択できます。
わかりやすいオリジナルテキストに沿って学習を進められるため、CADについて初めて学ぶ方でも安心して資格取得を目指せるでしょう。
建築や土木関連の設計に用いられるイメージの強いCAD。しかし、CADは建築物などの設計だけでなく、洋服やジュエリーといった女性にとって身近なアイテムのデザインにも活かせるスキルと...